減量やダイエットを始めるとこんな悩みが出てきますよね。
- 「減量をはじめて順調に体重が落ちていたのに、急に落ちなくなった」
- 「ダイエット中の食事制限が辛い」
- 「たまには好きなものを食べたい」
これらの悩みを解決してくれるのが「チートデイ」です。
チートデイは、1週間に1日だけ好きなものを食べる日を作ることによって、減量やダイエットの効率を向上させるテクニックです。
しかし、やり方を間違えると逆に体重が増えたり、リバウンドしてしまったりします。
この記事ではチートデイの正しいやり方とおすすめメニューを紹介していきます。
チートデイとは?
チートデイは英語で「cheat day」と書き、cheatには騙すという意味があります。
チートデイとは、自分の体を騙して、減量やダイエットの停滞期を抜け出す方法の一つです。最近では、ボディビルダーの方やライザップ中の方もチートデイを取り入れています。
まずは、チートデイについて正しい知識を持ちましょう。
人間の痩せる仕組みを知ろう
まずは人間が痩せる仕組みを勉強しましょう。
簡単に言うと「1日で吸収したカロリー(エネルギー)<1日で消費したカロリー(エネルギー)」となっていれば人間は痩せることができます。吸収したカロリーで足りない分の消費カロリーは、体の脂肪を分解してエネルギーを生成します。脂肪がどんどん分解されるので、体重が落ちていくというわけです。
カロリーの吸収は食事によって行われます。ダイエットにおける食事制限はカロリーの吸収を抑える意味で効果が期待できます。
カロリーの消費は基礎代謝が約60%、食事誘発性熱産生が約10%、身体活動量が約30%となっています。
基礎代謝とは、私たちがなにもしなくても消費するカロリーです。呼吸をするのにも、心臓を動かすのにもカロリーが必要ということですね。
食事誘発熱産生(しょくじゆうはつせい ねつさんせい)とは、食事の後に体温が上がることによるカロリー消費です。生姜などを食べた後は体がぽかぽかしますよね。あれです。
身体活動量は、体を動かすことによるカロリー消費です。運動をすれば上がるので、わかりやすいですね。
また、基礎代謝や食事誘発熱産生は身体の筋肉量が多いほど向上します。つまり、筋トレによって筋肉をつけることは、基礎代謝、食事誘発熱産生、身体活動量の3つ全てのカロリー消費を上げることにつながります。
食事に気をつけつつ筋肉をつけることにより、吸収カロリーよりも消費カロリーが大きくなり、引き締まった体を手に入れることができます。
ダイエットの大敵!停滞期とは?
参考:横浜スポーツ科学センター
減量やダイエットには「停滞期」というものが存在します。停滞期は体重が落ちないので、減量やダイエットをしている人には辛い期間になります。
人間の体は「1日で吸収したカロリー<1日で消費したカロリー」の日が続くと、省エネモードに入ります。これを飢餓状態やホメオスタシスとも言います。
省エネモードに入るタイミングは、だいたい体重の5%減量したときと言われています。
省エネモードに入ると、食事で吸収するカロリーの量が増え、運動で消費するカロリーの量が減ります。そうなってしまうと、今までと同じダイエット方法をしていても「1日で吸収したカロリー=1日で消費したカロリー」となってしまい、体重が落ちなくなります。
停滞期を抜け出す方法は以下の2つです。
- 我慢して時間経過を待つ
- チートデイを設ける
停滞期は、実は1ヵ月前後で抜け出すことができます。体重が落ちなくても悩まない、意思の強い人はいままでの方法を続けてみてください。また痩せるようになります。
しかし、ダイエット期間中に結果が出なくなってくると、不安になったり、ストレスを感じたりする人が多いのも事実です。そんなときに役立つのがチートデイなんです。
チートデイの目的と効果を解説
チートデイは、体を騙して停滞期を回避するテクニックです。
1週間に1度程度、大量にカロリーを摂取する日を作ります。そうすると、私たちの体は「最近吸収したカロリーが少なかったけど、気のせいだったな」と勘違いします。停滞期の原因となる省エネモードを回避できるのです。
チートデイはダイエット中の精神衛生にも良いとされています。1週間に1度だけ、好きなものを食べられる日があるというのは、モチベーションの維持にもなるからです。終わりのないダイエットは辛いですからね。
適度にストレス解消ができるので、ストレスからの暴飲暴食⇒翌日頭を抱えるみたいなパターンを防ぐこともできますよ。
チートデイは脂肪燃焼を加速させる
チートデイには「レプチン」という物質の分泌量を増加させ、脂肪を燃やす効果があります。
レプチンについては厚生労働省に以下のような説明があります。
脂肪組織で作られる、食欲の抑制とエネルギー代謝の調節に関わるホルモン。脂肪細胞から分泌されるペプチドホルモンで、アディポサイトカインの代表的なものです。
インスリンの刺激を受けて作り出され、視床下部にある満腹中枢に作用して食欲を抑えます。また交感神経を活性化させて脂肪を燃やし、エネルギーの消費を促すことで肥満を抑制する働きがあります。
簡単に言うと、レプチンには脂肪の燃やす働きがあります。
レプチンは「インスリン」という物質の刺激を受けて作り出されます。そのインスリンは糖質(つまり炭水化物)を多く摂ったときに分泌されます。
減量・ダイエット中の糖質制限によって、インスリン分泌が少なくなると、レプチンの量も減ってしまいます。
チートデイによって、普段減らしている炭水化物をしっかり食べることによって、脂肪をしっかりと分解できるようになるのです。
チートデイをしていい期間、していい頻度
チートデイをしていい頻度は体脂肪率で決まります。また、チートデイは1日だけで必ず終わらせなくてはいけません。
頻度や期間を守らないチートデイは、ただの食べ過ぎになってしまいます。
チートデイの頻度は体脂肪率で変わる
チートデイの頻度は体脂肪率で変わります。男性の体脂肪別のチートデイの頻度は下の表の通り。
体脂肪率 | 頻度 |
25%以上 | 必要なし |
20%~25% | 2週間に1日 |
15%~20% | 10日間に1日 |
10%~15% | 1週間に1日 |
10%未満 | 4日に1日 |
体脂肪率が25%以上の人は、そもそも省エネモードに入りにくいのでチートデイは必要ありません。逆に、体脂肪率が低い人はすぐに省エネモードに入ってしまいます。
体脂肪率の計算の仕方も紹介します。体脂肪率は以下の式で計算できます。
体脂肪率(%)=体脂肪の重さ(kg)÷体重(kg)×100
ここで問題が一つ。体脂肪の重さは体脂肪計という専用の機器を使って計測しなくてはいけません。また、最近は体重計にも体脂肪計がついていることがあります。
本気で減量やダイエットをするのであれば、必ず使う道具なので、この機会に購入してみることをおすすめします。
チートデイは1日だけのご褒美です
チートデイは、2日以上してはいけません。2日にわたって好きなものを食べるのは、ただの食べ過ぎになってしまい、今までの努力が無駄になってしまいます。
チートデイの翌日は、前日大量に食べたことから空腹感が大きくなってしまいがちです。
チートデイ翌日の食べたい気持ちに耐えきれないのであれば、チートデイはやらない方がいいでしょう。
チートデイの正しいやり方と注意点を解説!
チートデイだからといって、カロリーを摂取しすぎるのは逆効果です。これは分かりやすいと思います。
しかし、実は、摂取カロリーが少ないのもダイエットで逆効果になってしまうのです。
正しい摂取カロリー計算の方法を学んで、好きなものを美味しくいただきましょう。
チートデイに摂取すべきカロリー量の計算の仕方
チートデイは体を騙すことによって停滞期を回避するテクニックです。
体を騙す目的を実行するためには、普段よりも多くのカロリーを摂取する必要があります。しかも、ただ多ければいいわけではなく、普段の倍くらいのカロリー摂取が必要になります。
チートデイになってもあまり食べられなかったりして、普段より少し多い程度の食事になってしまっては意味がないのです。
チートデイに摂取すべきカロリー計算の方法は色々なものがあります。
- チートデイに摂取すべきカロリー=体重×45kcal
- チートデイに摂取すべきカロリー=除脂肪体重×55kcal
- チートデイに摂取すべきカロリー=普段の摂取カロリー+2500kcal
- チートデイに摂取すべきカロリー=基礎代謝量×3
一番わかりやすいのは1ですね。手軽に計算したい人にはおすすめの計算方法です。
2の除脂肪体重は「除脂肪体重=体重×(100-体脂肪率)÷100」で計算できます。体脂肪の重さを計るのには体脂肪計が必要です。
3は普段の摂取カロリーをきちんと計算している人ならすぐに分かります。年齢ごとの摂取カロリーの目安は以下の表の通りです。
4は年齢ごとの基礎代謝から計算する方法です。基礎代謝の計算方法は、厚生労働省のHPから計算できます。下の表の基礎代謝基準値に自分の体重をかけたら計算できます。
参考:e-ヘルスネット
例えば、年齢25歳、体重70kg、体脂肪率10%、普段のカロリー摂取量2000kcalの人のチートデイに摂取すべきカロリーの量をそれぞれの方法で計算すると……
- チートデイに摂取すべきカロリー=70kg(体重)×45kcal=3150kcal
- 除脂肪体重(kg)=70kg(体重)×(100-10%(体脂肪率))÷100=63kg
チートデイに摂取すべきカロリー=63kg(除脂肪体重)×55kcal=3465kcal - チートデイに摂取すべきカロリー=2000kcal(普段の摂取カロリー)+2500kcal=4500kcal
- 基礎代謝量=24.0(25歳の基礎代謝基準値)×70kg(体重)=1680kcal
チートデイに摂取すべきカロリー=1680kcal(基礎代謝量)×3=5040kcal
このようになります。大体3000kcal~5000kcalと、かなりばらつきがあるのがわかります。
どの計算方法が正しいというのは一概には言えませんので、1日の摂取カロリー量の下限が3000kcal、上限が5000kcalと思ったら大丈夫です。
逆に3000kcal食べれなかったり、5000kcalを超えてしまったりすると、チートデイは失敗してしまいます。
チートデイの食事は毎食きちんとカロリー計算をして食べるようにしましょう。
チートデイはこう食べよう
チートデイはカロリー量を守ればいいだけではなく、目的によって食事を選ぶことが大切です。
チートデイに食べる食事のことを「チートミール」なんて呼んだりもします。
チートデイをする主な目的は2つあります。
- 普段食べられないものを食べて、モチベーション維持&ストレス解消
- 食べても太りにくいものを食べて、減量&ダイエット効果を加速
ダイエットしたいなら当然2だろうと思う人も多いかもしれませんが、チートデイまで食事に制限をかけてしまっては、食事の楽しみが全くなくなってしまいます。
1のように、自分の好きなものを食べることでも、停滞期を抜け出すという目的は十分に達成できます。
1の目的の場合のおすすめは、昼に1番好きなものを、夜に2番目に好きなものを食べるやり方です。夜に食べ過ぎると太る原因になるのはみなさん知ってますよね。チートデイでもそれは同じです。そのため、昼に1番好きなものを好きなだけ食べることによって、夜の食事の量を減らすのです。
2の目的の場合のおすすめは、高炭水化物の食事を摂ることです。炭水化物はダイエット中は減らすことが多いですが、そのことよって脂肪分解の作用のあるレプチンの分泌が減ってしまっています。チートデイに炭水化物を普段取れない分摂取することによって、レプチンの分泌が促され、翌日からまた脂肪が分解されるようになります。
1、2どちらの場合でも、外食は簡単に摂取カロリーを多くする簡単な方法としておすすめです。男性なら、焼肉、ラーメンなど好きな人が多いはず。僕もそうですしね。
また、チートデイの食事の時間は朝、昼、晩の3回に分けてバランスよく食べることように意識しましょう。一番いけないのは夜だけドカ食いすることです。
好きなものなら何を食べても大丈夫?
チートデイだからといって、なんでも大量に食べて良いってことではありません。減量・ダイエット中の足りない栄養素を補給するのもチートデイの役割の一つだからです。
チョコ、スナック、菓子パン、アイス、和菓子などなど……普段食べられないからといってそればかり食べるのはNGということですね。もちろん、適量ならオッケーですよ。
また、チートデイでもアルコールはできるだけ避けた方が良いです。アルコールの分解は肝臓に負担をかけるからです。肝臓には、脂肪を消化するのに必要な胆汁が作れたり、栄養素を変化させる働きがあります。この働きが弱まるとカロリーの消費を妨げてしまいます。
どうしても飲みたいときは量をセーブするなどの工夫をすれば大丈夫です。ストレス解消もチートデイの大切な目的の一つですからね。
チートデイの翌日は注意が必要
チートデイがうまく効果を発揮するかどうかは翌日の食事によって決まります。
前日にたくさん食べているので、空腹感が襲ってきますが、そこを耐えることで更なる減量・ダイエットができるのです。
チートデイの翌日は体重が増えても大丈夫!
チートデイの次の日は体重が増えますが、気にしてはいけません。普段よりたくさん食べているのですから、当たり前です。
ここで焦って食べる量を極端に減らしたり、翌日だけ断食をしてしまうのはダメです。チートデイの前日まで行っていた食事制限に戻してください。
2、3日したらチートデイで増えた体重が元に戻ります。
チートデイの翌日の食事は高たんぱく質のものがおすすめ
チートデイの翌日は、高たんぱく質、低カロリー、低糖質の食事をするのがポイントです。
食事制限で減量・ダイエットを行っている方の食事は基本的にこのようになっているので、チートデイの前日の食事に戻せば大丈夫です。
納豆、無脂肪牛乳、ツナなどが高たんぱく質かつ、たんぱく質を吸収するのに役立つ栄養素も入っているのでおすすめです。
チートデイに筋トレをすると効果がある?
減量目的でチートデイを利用している方は、チートデイに筋トレをしていいのかどうかが気になるところです。
結論から言うと、「筋トレはしてもしなくてもどちらでもよい」です。
筋肉を作るのに糖質が役立ちます。糖質は炭水化物が分解されると生成されます。
減量・ダイエット中は炭水化物を制限していることが多いので、筋肉が作りにくくなっています。
チートデイで炭水化物を大量に摂取したタイミングで筋トレを行うのは、筋肉作りには効果的と言えるでしょう。
しかし、チートデイの本来の目的は食べることです。遠いジムに行くなど、筋トレに時間を使ってしまってあまり食べられなかった、などという事態になっては本末転倒です。
筋トレするかどうかは自分のチートデイの予定と相談して決めましょう
まとめ
チートデイを減量・ダイエットに効果的に活用するポイントは以下の3つです。
- 自分の体脂肪率を調べて、チートデイの頻度を決める
- チートデイ当日はカロリー計算をして、食べ過ぎ、食べなさ過ぎを防ぐ
- チートデイは強い意志をもって1日で終わらせる
チートデイを利用すれば、減量・ダイエット中の辛い停滞期も効率よく抜け出すことができます。
モチベーション維持やストレス解消にもなるので、長くダイエットを続ける人にもおすすめです。
うまくチートデイを利用して、楽しく食べながら理想の体型を手に入れましょう。